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「EVAはこの点について混同して、企業が実際に事業に投下する資本金額ではなく、企業の市場価値に対して資本コストに見合うだけの企業利益をあげることが必要とされると考えた点が誤りなのである。 キャッシュフロー割引モデルでは、企業価値は次の式で表された。
企業価値将来のフリー・キャッシュフロー期待値の現在価値また、先ほど説明したEVAとMVAの関係を用いると、企業価値は次のように表すことができる。 企業価値投下資本・MVA投下資本・将来のEVA期待値の現在価値実は、以上の2つの企業価値評価式は理論的に同じことを意味している。
これを次の数値例を用いて説明してみよう。 [例2]C社の今後5年間のNOPAT、純投資額(投資額と減価償却費との差)は次の表のように予想されている。
また6年目以降は、純投資額はゼロで、NOPATは一定(160億円)になると予想されている。 1年目の期首の投下資本が1、000億円で、加重平均資本コストが10%とすると、企業価値はどのような値になるであろうか。
C社のNOPAT、純投資額の予想値まず、毎年のフリー・キャッシュフローを計算して、キャッシュフロー割引モデルで企業価値を計算してみよう。 毎年のフリー・キャッシュフローは、次の式で計算できる。

フリー・キャッシュフローNOPATー純投資額例えば1年目のキャッシュフローは次のように計算される。 1年目のフリー・キャッシュフロー1205070億円したがって、加重平均コスト10%を用いると1年目のフリー・キャッシュフローの現在価値は、2年目から5年固までについても、同様に現在価値を計算できる。
6年目以降は、純投資額はゼロとなるので、フリー・キャッシュフローNOPAT160f」意円となる。 6年目以降のキャッシュフローの5年後時点での現在価値は、永久定額年金の公式から、6年目以降のキャッシュフローの5年後時点での現在価値これをさらに現在時点に割り引くと、6年目以降のキャッシュフローの現在時点での現在価値したがって、表182が示すように、企業価値はフリー・キャッシュフローの現在価値を合計して、1、293、14億円となる。
次に、EVAを用いて企業価値を計算してみよう。 毎年のEVAは、次の式で計算できる。
NOPATー投下資本×加重平均資本コスト例えば1年目のEVAは次のように計算される。 年目のEVA1201、OOOXO、20億円したがって、加重平均資本コスト10%を用いると1年目のEVAの現在価値は、2年目については、投下資本は1年目の投下資本1、000億円に年目の純投資額50億円を加えた1、050億円になる。
以下1年目と同じ計算をすれば、EVAならびにEVAの現在価値が計算できる。 6年目以降は、純投資額はゼロとなるので、投下資本、NOPAT、EVAも一定になる。
6年目以降のEVAは、1601、300XO、130億円となる。 6年目以降のEVAの5年後時点での現在価値は永久定額年金の公式から、6年目以降のEVAの5年後時点での現在価値300億円これをさらに現在時点に割り引くと、6年目以降のEVAの現在時点での現在価値・ってτ186、28億円したがって、次の表183が示すように、企業価値は1年目期首の投下資本と今後のEVAの現在価値を合計して、1、293、14億円となる。
企業価値投下資本・EVAの現在価値以上の計算結果から、キャッシュフロー割引モデルとEVAの両方を用いて企業価値を計算すると、同じ計算結果になることがわかる。 直|日米企業のEVAとMVA日米企業の投下資本利益率と資本コストの推移をみたのが図181である。
図で、EVAスプレッドとは投下資本利益率と加重平均資本コストとの差のことであり、これがプラスであれば、企業は価値を創造したといえる。 図に示されるように、アメリカ企業は1991、92年を除くと、毎年、EVAスプレッドがプラスであり、価値を創造していることがわかる。
これに対して、日本企業は残念ながら、89年以降、毎年、EVAスプレッドがマイナスとなっている。 つまり、90年代に入って、日本企業全体としてみると、投下資本を有効に使っておらず、価値を破壊していることがわかる。
この分析をおこなったゴールドマン・サックス証券のキャシー松井は、このような価値破壊がおこなわれた理由として、次のような点を指摘している。 ?過剰な設備投資、低生産性に起因する投下資本利益率の低さ。

?自社の資本コスト、とりわけ株主資本コストに対する企業経営者の認識不足。 ?収益性や資本効率よりも規模の拡大による利益の最大化を優先してきた経営方針。
?実績より年功を重んじた報酬体系。 1990年代以降の日本の株価の長期的低迷は結局、この価値破壊を反映したものと考えることができる。
4、2日米主要企業のEVAとMVA。 次に、日米主要企業のEVAやMVAの水準をみてみよう。
次の表184、表185は日米のMVA上位20杜を示したものである。 これらの表をみると、次のようなことがわかる。
まず、アメリカ企業についてみると、総じて加重平均資本コストは1015%と非常に高い水準であるが、ほとんどの企業はそれを上回る投下資本利益率をあげている(すなわちプラスのEVAを生んでいる)。 特にM(5178%)、デル・コンピュータ(4633%)、インテル(3055%)といった情報産業に属する企業は30%以上の極めて高い投下資本利益率をあげている。
これに対し、日本企業の加重平均資本コストは、金利が非常に低いこともあって、27%台と低くなっている。 多くの企業の投下資本利益率も10%以下にとどまっている。

このなかで、投下資本利益率が高い企業としては、K(2358%)、東京エレクトロン(1)812%)、ローム(1)798%)、村田製作所(1)701%)、武田薬品工業(1)566%)、N(1)561%)などがあげられるが、総じてアメリカ企業に比べると低い水準となっている。 このように、日本の主要企業の収益性はアメリカ企業に大きく劣っていることがわかる。
もちろん、日本とアメリカとでは経済環境や金融環境の違いがあるので、数値を単純に比較することはできないが、それを考慮しでも、日本企業にとって収益性の向上が大きな課題になっていることが確認できるであろう。 団経営管理手法としてのEVA5、1EVAの意義。
EVAの意義は、企業が事業から資本コストを上回る利益をあげているかどうかを、利益額、投下資本利益率双方の観点から簡単に計算できることにある。 これまで多くの企業が総資本利益率(「OA)や株主資本利益率(「0E)などの収益性指標を経営目標や業績管理指標に用いてきたが、これらの指標を用いた場合、どれだ、けの水準を達成すれば企業が価値を創造したことになるのかが明らかでなかった。
これに対し、EVAの場合、企業があげた利益が必要利益額資本費用(投下資本×加重平均資本コスト)をどれだけ上回ったのかを計算しているので、EVAがプラスならば企業は価値を生んでいると簡単に判断できる点がメリットとなっている。


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